離婚したら退職金は財産分与の対象になるの?知っておくべき基本ルールと手続き
離婚を考えているあなたにとって、退職金がどう扱われるかは重要な問題でしょう。特に長年連れ添った夫婦の場合、退職金は老後の生活を支える大切な資産です。「まだ受け取っていない退職金も分けなければならないの?」「すでに使ってしまった退職金はどうなるの?」といった疑問を持つ方も多いはずです。
実は、退職金は原則として財産分与の対象となります。これは退職金が「給与の後払い」という性格を持ち、婚姻期間中に夫婦の協力によって形成された共有財産と見なされるためです。ただし、すべての退職金が対象になるわけではありません。
この記事では、退職金の財産分与に関する基本的な考え方から、具体的な計算方法、請求手続きまで、あなたが知っておくべき重要なポイントを詳しく解説します。
目次
退職金が財産分与の対象となる基本的な考え方
退職金の財産分与について理解するには、まず退職金がなぜ分与対象になるのかを知ることが大切です。
退職金は単なる会社からの贈り物ではありません。法律上、退職金は「賃金の後払い」として位置づけられています。つまり、あなたやパートナーが働いている間に本来受け取るべきだった給与の一部を、退職時にまとめて支払うという性格を持っているのです。
そして重要なのは、この退職金が「夫婦の協力によって形成された財産」と見なされる点です。たとえあなたが専業主婦(主夫)であっても、配偶者が安心して仕事に専念できたのは、あなたが家事や育児を担当していたからこそ。このような夫婦の役割分担と協力関係があってこそ、退職金という財産が形成されたと考えられるわけです。
財産分与の対象となる退職金の範囲
では、退職金のすべてが財産分与の対象になるのでしょうか?答えはNoです。
財産分与の対象となるのは「婚姻期間中に積み立てられた部分」に限られます。具体的には、結婚してから離婚(または別居)するまでの期間に相当する退職金部分だけが対象となります。
例えば、30年間勤務した会社から2,400万円の退職金を受け取る予定で、そのうち20年間が婚姻期間だった場合を考えてみましょう。この場合、2,400万円全額ではなく、婚姻期間20年分に相当する1,600万円(2,400万円×20年÷30年)が財産分与の対象となります。
結婚前の独身時代に積み立てられた部分や、別居後に積み立てられた部分は「特有財産」として扱われ、財産分与の対象から除外されます。これは、夫婦の協力によって形成されたとは言えない部分だからです。
原則として2分の1で分割される仕組み
財産分与の割合について、民法では「当事者双方がその協力によって得た財産の額その他一切の事情を考慮して」定めるとされています。しかし実務上は、原則として「2分の1ルール」が適用されます。
これは、夫婦それぞれの貢献度は基本的に平等であるという考え方に基づいています。収入の多寡や、専業主婦(主夫)かどうかは関係ありません。家事労働も外での労働も、家庭を維持する上で同等の価値があると認められているのです。
ただし、例外的に2分の1以外の割合で分割されるケースもあります。例えば、一方の配偶者が特殊な才能や努力によって著しく高額な収入を得ていた場合(プロスポーツ選手や芸能人など)や、財産形成に対する貢献度に明らかな差がある場合などです。しかし、こうした例外は稀で、ほとんどのケースでは2分の1ずつの分割が基本となります。
すでに支払われた退職金の財産分与
離婚時点ですでに退職金を受け取っているケースでは、どのような扱いになるのでしょうか。実は、このタイミングの違いによって、財産分与の考え方も変わってきます。
基本的な原則は「手元に残っている退職金が財産分与の対象」ということです。退職金を受け取った時期が離婚の数年前であっても、その退職金が預貯金や不動産などの形で残っていれば、財産分与の対象となります。
しかし、ここで問題となるのが「退職金をどこまで使ったか」という点です。
手元に残っている退職金の扱い
退職金を受け取ってから離婚までの間に、その一部または全部を使ってしまったというケースは珍しくありません。この場合、財産分与の対象となるのは「現在手元に残っている部分」のみです。
例えば、3年前に2,000万円の退職金を受け取り、住宅ローンの返済に800万円、生活費に400万円を使い、現在800万円が預金として残っているとします。この場合、財産分与の対象となるのは残っている800万円です。
ただし、使った退職金の使途によっては、異なる判断がされることもあります。例えば、夫婦共有の住宅ローン返済に充てた場合、その住宅自体が財産分与の対象となるため、実質的には退職金が財産分与に反映されることになります。
一方で、ギャンブルや個人的な趣味に浪費した場合はどうでしょうか。このような「不当な目的での使い込み」があった場合、裁判所は慰謝料請求や財産分与の割合変更などで調整を図ることがあります。とはいえ、使ってしまったお金を取り戻すのは現実的に困難なケースが多いのが実情です。
使い込みを防ぐための仮差押えの方法
離婚協議中に相手が退職金を使い込んでしまうのではないか、そんな不安を抱えているあなたには、「仮差押え」という法的手段があります。
仮差押えとは、裁判所の決定により、相手の財産を一時的に凍結する手続きです。退職金が入金されている預金口座を仮差押えすることで、相手が勝手に引き出したり、別の口座に移したりすることを防げます。
仮差押えの申立てには以下の要件が必要です:
- 被保全権利の存在:財産分与請求権があることを疎明する必要があります。
- 保全の必要性:相手が財産を隠したり処分したりする恐れがあることを示す必要があります。
- 担保金の供託:通常、請求額の20〜30%程度の担保金を裁判所に預ける必要があります。
実際に仮差押えを検討する場合は、以下のような兆候に注意してください。相手が急に高額な買い物を始めた、預金を別の口座に移し始めた、投資話を持ち出すようになった、こうした行動が見られたら、早めに弁護士に相談することをお勧めします。
ただし、仮差押えは強力な手段である分、相手との関係が決定的に悪化する可能性もあります。協議での解決が望ましい場合は、まず話し合いでの解決を試み、それが難しい場合の最終手段として考えるべきでしょう。
まだ支払われていない退職金の財産分与
「夫はまだ50代で定年まで10年以上ある」「退職金がもらえるかどうか分からない」こんな状況でも、将来の退職金は財産分与の対象になるのでしょうか。
答えは「条件付きでYes」です。まだ支払われていない退職金でも、一定の条件を満たせば財産分与の対象として認められます。ここでのポイントは「支払いの確実性」です。
将来の退職金が対象となる条件
裁判所が将来の退職金を財産分与の対象とするかどうかを判断する際、主に以下の要素を考慮します:
1. 退職までの期間
一般的に、離婚時から退職予定日まで「10年以内」であれば、退職金支給の蓋然性が高いと判断される傾向があります。5年以内であればほぼ確実に認められ、10年を超えると認められにくくなります。
2. 勤務先の安定性
大企業や公務員など、倒産リスクが低く退職金制度が確立している職場であれば、将来の退職金も財産分与の対象として認められやすくなります。逆に、経営状態が不安定な中小企業の場合は、慎重に判断されます。
3. 退職金規程の有無
就業規則や退職金規程で退職金の支給条件や計算方法が明確に定められている場合、支給の確実性が高いと評価されます。
4. 健康状態や勤務状況
配偶者の健康状態が良好で、これまでの勤務態度に問題がなく、定年まで勤続する可能性が高い場合は、有利に働きます。
あなたのケースがこれらの条件にどの程度当てはまるか、一度整理してみることをお勧めします。例えば、配偶者が公務員で退職まで7年、健康状態も良好という場合は、将来の退職金も財産分与の対象として十分主張できるでしょう。
定年前の退職金支払い方法の選択肢
まだ支払われていない退職金を財産分与する方法には、いくつかの選択肢があります。それぞれにメリット・デメリットがあるので、あなたの状況に最も適した方法を選ぶことが大切です。
1. 現時点での清算方式
「今退職したと仮定した場合の退職金額」を基準に、婚姻期間に相当する部分を算出し、その2分の1を離婚時に支払う方法です。
- メリット:離婚時に清算が完了し、将来のトラブルを避けられる。
- デメリット:実際の退職金額より少なくなる可能性がある(勤続年数が短いため)。
2. 将来の支払い約束方式
実際に退職金が支給された時点で、婚姻期間に相当する部分の2分の1を支払うという約束をする方法です。
- メリット:実際の退職金額に基づいた公平な分配が可能。
- デメリット:支払いが先送りになり、相手の支払い能力や意思に左右される。
3. 分割払い方式
退職金相当額を月々の分割払いで支払う方法です。養育費などと合わせて取り決めることもあります。
- メリット:毎月安定した収入が得られる。
- デメリット:長期間にわたる支払いの管理が必要。
どの方法を選ぶにせよ、口約束ではなく、必ず書面(できれば公正証書)に残すことが重要です。特に将来の支払い約束方式を選ぶ場合は、強制執行認諾文言付きの公正証書を作成することで、万が一支払いが滞った場合にも対応できるようにしておきましょう。
退職金の財産分与額の計算方法
「実際にいくらもらえるの?」これが最も気になる点ではないでしょうか。退職金の財産分与額を計算する方法は、実はそれほど複雑ではありません。基本的な計算式を理解すれば、あなた自身でもおおよその金額を算出できます。
基本的な計算式は以下の通りです:
退職金総額 ×(婚姻期間 ÷ 勤続年数)× 1/2 = あなたの取り分
具体例で考えてみましょう。配偶者が勤続30年で退職金2,400万円を受け取る予定、そのうち婚姻期間が20年だったとします。
計算すると:
2,400万円 ×(20年 ÷ 30年)× 1/2 = 800万円
つまり、あなたは800万円を受け取る権利があるということになります。
ただし、この計算方法にもいくつかのバリエーションがあり、状況に応じて使い分ける必要があります。
現時点で退職したと仮定する計算方式
配偶者がまだ定年前で、実際の退職金額が確定していない場合によく用いられる方法です。
この方式では、「もし今退職したら、いくら退職金がもらえるか」を基準にします。多くの企業では、勤続年数に応じた退職金の計算表(退職金規程)があるので、それを参照して現時点での退職金額を算出します。
例えば、現在勤続25年の配偶者が、今退職したら1,800万円の退職金がもらえるとします。婚姻期間が20年なら:
1,800万円 ×(20年 ÷ 25年)× 1/2 = 720万円
この720万円があなたの取り分となります。
この方式のメリットは、離婚時点で金額が確定し、すぐに清算できることです。一方で、実際に定年まで勤めた場合の退職金額より少なくなることが多いというデメリットもあります。なぜなら、退職金は勤続年数が長いほど、累進的に増える仕組みになっている企業が多いからです。
定年退職時の予定額で計算する方式
将来、定年退職時に受け取る予定の退職金額を基準にする方法です。より実態に即した金額で計算できますが、いくつかの調整が必要になります。
まず、定年時の退職金見込額を確認します。大企業や公務員の場合、人事部に問い合わせれば、定年時の退職金見込額を教えてもらえることがあります。仮に定年時(勤続38年)の退職金見込額が3,000万円だとしましょう。
婚姻期間が20年の場合:
3,000万円 ×(20年 ÷ 38年)× 1/2 = 約789万円
ただし、この金額をそのまま請求できるわけではありません。なぜなら、将来の退職金を現在価値に割り引く必要があるからです。これを「中間利息控除」といいます。
例えば、退職まであと10年ある場合、年3%の利率で中間利息控除を行うと:
789万円 ÷ 1.344(複利原価率)= 約587万円
この587万円が、現在支払われるべき金額となります。
中間利息控除の計算は複雑なので、正確な金額を知りたい場合は、弁護士や家庭裁判所の調査官に相談することをお勧めします。
また、この方式を採用する場合、実際に退職金が支払われた時に清算する「清算条項」を設けることも可能です。「実際の退職金額が見込額と○○万円以上異なった場合は、差額を清算する」といった取り決めをしておけば、より公平な分配が実現できます。
退職金の財産分与を請求する手続き
退職金の財産分与を実際に請求するには、どのような手続きを踏めばよいのでしょうか。大きく分けて、協議による解決と、裁判所を通じた解決の2つの道があります。
どちらの方法を選ぶかは、相手との関係性や交渉の進展具合によって変わってきます。まずは協議での解決を目指し、それが難しい場合に調停や裁判を検討するというのが一般的な流れです。
1. 離婚協議での話し合いの進め方
離婚協議は、夫婦が直接話し合って条件を決める方法です。お互いが納得できれば、最も早く、費用もかからない解決方法といえます。
協議を進める上でのポイントをいくつか挙げてみましょう。
1. 事前準備を怠らない
まず、退職金に関する資料を集めましょう。退職金規程、給与明細、源泉徴収票など、退職金の存在と金額を証明できる書類を準備します。相手が協力的でない場合は、勤務先のホームページで退職金制度を確認したり、同業他社の事例を参考にしたりすることも有効です。
2. 冷静かつ論理的に交渉する
感情的になりやすい離婚協議ですが、退職金の話は特に冷静に進める必要があります。「法律ではこうなっている」「一般的にはこう処理される」といった客観的な根拠を示しながら、建設的な話し合いを心がけましょう。
3. 妥協点を見つける
完璧な条件を求めすぎると、協議が長期化したり決裂したりする恐れがあります。例えば、本来なら800万円の請求権があるところを、早期解決のために700万円で合意するといった柔軟な対応も時には必要です。
4. 合意内容を公正証書にする
これは極めて重要なポイントです。口約束や簡単な覚書では、後でトラブルになる可能性があります。必ず公証役場で公正証書を作成し、強制執行認諾文言を入れておきましょう。これにより、万が一支払いが滞った場合でも、裁判を経ずに強制執行が可能になります。
公正証書の作成費用は、対象金額によって変わりますが、数万円程度です。将来のリスクを考えれば、決して高い投資ではありません。
2. 調停・裁判での請求方法
協議がまとまらない場合は、家庭裁判所に調停を申し立てることになります。
調停の流れ
- 申立て:家庭裁判所に「離婚調停申立書」を提出します。申立費用は1,200円程度と安価です。
- 調停期日:月1回程度のペースで調停が開かれます。調停委員(通常は男女各1名)が間に入り、双方の意見を聞きながら合意点を探ります。
- 証拠の提出:退職金規程、給与明細、退職金見込額証明書などを提出し、退職金の存在と金額を立証します。
- 調停成立または不成立:合意に達すれば調停調書が作成され、これは確定判決と同じ効力を持ちます。合意できなければ調停不成立となります。
審判・裁判への移行
調停が不成立になった場合、離婚そのものについては離婚訴訟を、財産分与については審判手続きを申し立てることができます。
裁判では、より厳密な立証が求められます。特に将来の退職金については、以下の点を明確に主張・立証する必要があります:
- 退職金支給の蓋然性(勤務先の安定性、退職までの期間など)
- 退職金の見込額(退職金規程、類似事例など)
- 婚姻期間中の貢献度
裁判所は、提出された証拠と双方の主張を総合的に判断し、判決を下します。判決には強制力があるため、相手が従わない場合は強制執行が可能です。
ただし、裁判まで進むと、時間(通常1年以上)も費用(弁護士費用を含めると数十万円〜100万円以上)もかかります。できる限り調停段階での解決を目指すことをお勧めします。
共働き夫婦や熟年離婚での特別な配慮事項
退職金の財産分与は、夫婦の状況によって考慮すべき点が変わってきます。特に共働き夫婦や熟年離婚のケースでは、通常とは異なる配慮が必要になることがあります。
共働き夫婦の場合
共働き夫婦では、双方に退職金がある場合が多く、その処理方法が問題となります。
基本的な考え方は「それぞれの退職金について、婚姻期間に相当する部分を算出し、その差額を調整する」というものです。
例えば:
- 夫の退職金(婚姻期間分):1,200万円
- 妻の退職金(婚姻期間分):800万円
- 差額:400万円
- 妻が受け取る金額:400万円 ÷ 2 = 200万円
このように計算することで、双方の退職金を公平に分配できます。
ただし、注意すべき点もあります。例えば、一方が育児のために退職や転職を余儀なくされ、退職金が減った場合です。このような「キャリアの犠牲」があった場合は、単純な差額調整ではなく、その犠牲を考慮した配分が検討されることもあります。
また、双方の退職時期が大きく異なる場合(例:夫は5年後、妻は15年後)は、中間利息控除の計算が複雑になります。このような場合は、専門家のアドバイスを受けることをお勧めします。
熟年離婚の場合
結婚生活が20年、30年と長期に及ぶ熟年離婚では、退職金の重要性が格段に高まります。なぜなら、退職金が老後の生活資金の大部分を占めることが多いからです。
熟年離婚における退職金分与の特徴:
- 金額が大きい:婚姻期間が長いため、分与対象となる退職金額も大きくなります。勤続35年、婚姻期間30年で退職金3,000万円なら、分与額は1,285万円にもなります。
- すでに受給している場合が多い:熟年離婚では、すでに退職金を受け取っているケースも多く、その使途や残額の確認が重要になります。
- 年金分割との調整:退職金だけでなく、厚生年金の分割も同時に行うことが一般的です。両者を合わせて、老後の生活設計を考える必要があります。
- 扶養的要素の考慮:特に専業主婦期間が長かった場合、単純な2分の1分割では生活が成り立たないこともあります。裁判所は、双方の年齢、健康状態、今後の収入見込みなどを考慮し、場合によっては分与割合を調整することもあります。
熟年離婚を検討している方へのアドバイス:
まず、離婚後の生活設計をしっかりと立てることが大切です。退職金の分与額、年金分割後の受給額、その他の財産分与、そして今後の収入見込みを総合的に検討し、本当に経済的に自立できるかを慎重に判断しましょう。
また、退職金の支払い方法も重要です。一括で受け取るか、分割で受け取るか、それぞれのメリット・デメリットを考慮して決める必要があります。高齢になってからの離婚は、やり直しがききにくいだけに、慎重な判断が求められます。
必要に応じて、ファイナンシャルプランナーに相談し、離婚後の生活設計についてアドバイスを受けることも検討してみてください。
まとめ
ここまで、離婚時の退職金の財産分与について詳しく解説してきました。最後に、あなたが押さえておくべき重要なポイントを整理しておきましょう。
退職金は「給与の後払い」という性格を持ち、婚姻期間中に夫婦の協力によって形成された共有財産として、原則的に財産分与の対象となります。対象となるのは婚姻期間に相当する部分のみで、基本的には2分の1ずつ分配されます。
すでに支払われた退職金については、手元に残っている分が分与対象となります。使い込みが心配な場合は、仮差押えという法的手段も検討できますが、まずは冷静な話し合いを試みることが大切です。
まだ支払われていない退職金も、退職まで10年以内で支給の確実性が高い場合は、財産分与の対象として認められます。現時点で清算する方法と、将来実際に支給された時点で分配する方法があり、それぞれにメリット・デメリットがあります。
計算方法は「退職金総額×(婚姻期間÷勤続年数)×1/2」が基本ですが、状況に応じて調整が必要な場合もあります。特に将来の退職金については、中間利息控除などの複雑な計算が必要になることもあるので、専門家のアドバイスを受けることをお勧めします。
請求手続きは、まず協議での解決を目指し、合意内容は必ず公正証書にすることが重要です。協議がまとまらない場合は、家庭裁判所の調停、さらには審判・裁判という流れになりますが、時間と費用を考えると、できる限り早い段階での解決が望ましいでしょう。
共働き夫婦の場合は双方の退職金を調整し、熟年離婚の場合は老後の生活設計を含めた総合的な検討が必要です。
離婚は人生の大きな転機です。特に経済的な問題は、今後の生活に直接影響します。退職金の財産分与は複雑な面もありますが、正しい知識を持って適切に対処すれば、公平な解決は可能です。
もし判断に迷うことがあれば、一人で悩まず、弁護士などの専門家に相談することをお勧めします。多くの弁護士事務所では初回相談を無料で行っていますし、法テラスなどの公的な相談窓口もあります。
あなたの新しい人生のスタートが、経済的にも精神的にも安定したものになることを願っています。
