裁判離婚にかかる費用はどれくらい?弁護士に依頼するときの相場と節約のヒント

離婚裁判を検討しているあなたは、費用がどれくらいかかるのか不安を感じているでしょう。裁判所に支払う基本的な費用は約2万円程度ですが、財産分与や養育費、慰謝料請求を含めると追加費用が発生します。

弁護士に依頼する場合、着手金として20万〜30万円、成功報酬として獲得額の10〜16%が一般的です。たとえば、財産分与200万円と養育費月4万円を10年分獲得した場合、弁護士費用は総額135万円程度になることもあります。

裁判離婚の費用相場

裁判離婚にかかる総費用は62万〜113万円程度で、裁判所への支払いと弁護士費用で構成されます。費用の大部分を占める弁護士費用は案件の複雑さによって変動し、親権争いや高額な財産分与が絡むケースでは上限を超えることもあります。

裁判所費用の具体的な金額

裁判所に納める費用は約2万〜3万円で、内訳は収入印紙代13,000円と郵便切手代6,000円が基本です。財産分与や養育費を追加請求する場合、各項目につき1,200円の印紙代が加算されます。慰謝料300万円を請求する場合の印紙代は20,000円となり、財産分与と養育費を含めると総額24,800円程度になります。

費用項目金額
収入印紙(離婚のみ)13,000円
郵便切手代6,000円
戸籍謄本450円
追加請求(各項目)1,200円
証人日当7,000〜8,000円

証人や鑑定人を呼ぶ場合、日当と交通費が別途発生します。

弁護士費用の目安と料金体系

弁護士費用の相場は60万〜110万円で、着手金と成功報酬の二段階構成が一般的です。着手金は30万〜60万円、成功報酬は獲得額の10〜16%が基準となります。離婚成立の基本報酬は30万〜50万円で、財産分与200万円を獲得した場合は32万円(16%)、養育費月4万円を10年分獲得した場合は48万円の報酬が加算されます。

費用項目金額の目安
着手金30万〜60万円
離婚成立報酬30万〜50万円
財産分与報酬獲得額の10〜16%
養育費報酬獲得額の10%
日当(1回)2万〜5万円

遠方の裁判所への出廷では日当が発生しますが、オンライン対応可能な裁判所では日当不要のケースも増えています。

ケース別の費用シミュレーション

離婚裁判の費用は請求内容によって大きく変動します。以下では具体的なケースごとに必要な費用を詳しく解説します。

離婚のみを請求する場合

離婚のみを請求する最もシンプルなケースでは、裁判所費用約2万円と弁護士費用60万〜70万円で合計62万〜72万円程度かかります。

裁判所への支払いは収入印紙代13,000円、郵便切手代5,000〜6,000円、戸籍謄本取得費用450円です。親権者の指定を求める場合でも追加費用は発生しません。

弁護士費用の内訳は相談料5,500円(初回無料の事務所もあります)、着手金30万〜40万円、離婚成立時の基本報酬30万〜40万円となります。日当は1回あたり3万〜5万円で、裁判期日が5回なら15万〜25万円の追加費用が発生します。

このケースは争点が少ないため、審理期間も6ヶ月〜1年程度と比較的短期間で終結することが多く、費用負担も最小限に抑えられます。

財産分与や慰謝料を含む場合

財産分与と慰謝料300万円を請求する場合、裁判所費用約3万円と弁護士費用90万〜130万円で合計93万〜133万円程度かかります。

裁判所費用は基本の13,000円に財産分与の印紙代1,200円を加算し、慰謝料300万円の印紙代20,000円と比較して多額の方を採用するため、合計24,800円となります。郵便切手代と戸籍謄本費用を含めて約3万円です。

弁護士の成功報酬は経済的利益に応じて増加します。財産分与200万円を獲得した場合は32万円(16%)、慰謝料300万円を獲得した場合は30万〜48万円(10〜16%)の報酬が加算されます。着手金も複雑な案件のため40万〜60万円と高額になります。

不動産鑑定が必要な場合は鑑定費用15万〜30万円が別途発生することもあります。

親権・養育費が関わる場合

親権争いと子ども2人の養育費を請求する場合、裁判所費用約2万円と弁護士費用80万〜120万円で合計82万〜122万円程度かかります。

裁判所費用は基本の13,000円に養育費請求の印紙代1,200円×2人分で2,400円を加算し、合計15,400円となります。切手代と戸籍謄本費用を含めて約2万円です。

養育費月額4万円を10年分獲得した場合、480万円の経済的利益に対して48万円(10%)の成功報酬が発生します。親権争いがある場合は着手金が50万〜60万円と高額になり、子どもの心理鑑定が必要なら10万〜20万円の追加費用がかかります。

監護者指定の審判を併せて申し立てる場合は、別途印紙代1,200円と切手代が必要です。面会交流の取り決めも含める場合はさらに1,200円加算されます。

調停からそのまま裁判へ移行する場合

調停不成立から裁判へ移行する場合、調停費用と裁判費用を合わせて総額65万〜125万円程度かかります。

調停段階では印紙代1,200円と切手代1,240円の約2,500円で済みますが、弁護士に依頼している場合は着手金20万〜30万円が必要です。調停から継続して同じ弁護士に依頼する場合、裁判の着手金が半額(15万〜30万円)になる事務所が多く、トータルコストを抑えられます。

調停で作成した陳述書や証拠書類をそのまま裁判で使用できるため、新たな書類作成費用を節約できます。調停期間6ヶ月、裁判期間1年の合計1年6ヶ月程度の長期戦になることが多く、日当の総額も30万〜50万円と高額になります。

別の弁護士に変更する場合は、新たに着手金30万〜60万円が必要となり費用負担が増大します。

控訴・上告が発生した場合

第一審判決に不服があり控訴する場合、追加で40万〜80万円程度の費用が発生します。

控訴審の裁判所費用は第一審の1.5倍の印紙代(離婚のみなら19,500円)と郵便切手代6,000円程度です。弁護士の控訴審着手金は20万〜40万円で、第一審から継続の場合は減額される事務所もあります。

上告まで進む場合はさらに第一審の2倍の印紙代(26,000円)と着手金30万〜50万円が必要です。最高裁まで争うと総額150万〜200万円以上かかることもあります。

控訴・上告では新たな証拠提出が制限されるため、第一審での立証活動が重要です。勝訴の見込みが低い場合は費用対効果を慎重に検討する必要があります。

裁判費用の負担と支払い責任

離婚裁判の費用負担には明確なルールがあり、訴訟費用と弁護士費用で負担者が異なります。原告(裁判を申し立てた側)が初期費用を支払いますが、最終的な負担割合は判決で決まることがあります。

訴訟費用の負担ルール

訴訟費用は原告が一時的に全額(約2万〜3万円)を負担します。裁判終了時に裁判官が判決で負担割合を決定できますが、実際は「訴訟費用は各自負担」と判示されるケースが大半です。

離婚のみの請求では収入印紙代13,000円と郵便切手代5,000〜6,000円を原告が立て替えます。財産分与や養育費を追加請求する場合は各1,200円、慰謝料300万円請求なら印紙代20,000円が加算されます。

敗訴した側に全額負担を命じることもありますが、離婚裁判では双方に非があるケースが多く、折半や各自負担となります。判決文には「訴訟費用は原告負担」「被告負担」「2分の1ずつ負担」などと明記されます。

弁護士費用の支払い原則

弁護士費用(60万〜130万円程度)は原則として依頼者の自己負担です。相手方に弁護士費用を請求できるのは、不法行為(不倫など)による慰謝料請求で勝訴した場合のみで、賠償額の10%程度が認められることがあります。

着手金30万〜60万円は契約時に支払い、成功報酬は判決確定後に支払います。財産分与で200万円獲得なら報酬金32万円(16%)、養育費月4万円×10年分なら報酬金48万円が加算されます。

支払い困難な場合は法テラスの立替制度を利用でき、月額5,000〜10,000円の分割返済が可能です。収入要件(単身者は月収18万2,000円以下)と資産要件(180万円以下)を満たす必要があります。

費用を抑える方法と対策

裁判離婚の費用は総額62万〜133万円と高額になりますが、適切な対策を取れば大幅に削減できます。以下の3つの方法を実践することで、費用負担を最小限に抑えられます。

1. 早期解決による費用削減

早期に弁護士へ相談することで、調停段階での解決率が70%以上になります。調停で解決した場合の費用は40万〜60万円程度で、裁判まで進んだ場合と比べて20万〜50万円の削減が可能です。

問題が深刻化する前の段階で法的アドバイスを受けることで、証拠収集や交渉戦略を効率的に進められます。例えば、不倫の証拠や財産状況の把握を早めに行うことで、相手方も争いを長期化させる意欲を失い、早期和解に応じやすくなります。

初回相談無料の事務所を活用し、離婚の見通しと費用感を把握してから本格的な依頼を検討すると良いでしょう。調停委員を通じた話し合いで解決すれば、裁判の印紙代13,000円や追加の弁護士報酬30万〜50万円を節約できます。

2. 複数の弁護士への相談と比較

3〜5名の弁護士に相談して費用体系を比較することで、適正価格でサービスを受けられます。初回相談無料の事務所が全体の60%を占めており、複数の見積もりを取ることで10万〜30万円の差が生じることがあります。

着手金が20万円の事務所と60万円の事務所では40万円の差があり、成功報酬率も10%と16%では獲得額200万円の場合で12万円の差が出ます。オンライン相談対応の事務所なら交通費も節約でき、日当2万〜5万円が不要になるケースもあります。

相談時には「離婚のみ」「財産分与込み」「養育費請求込み」など、具体的な依頼内容を明確にして見積もりを取りましょう。費用だけでなく、弁護士の経験年数や離婚事件の取扱件数、解決までの期間目安も確認することが重要です。

3. 費用体系が明瞭な事務所(定額制)を選ぶ

定額制プランを提供する事務所なら、追加費用の心配なく依頼できます。離婚のみの場合50万円、財産分与込みで80万円、親権争い込みで100万円といった明確な料金設定の事務所を選ぶことで、予算オーバーを防げます。

従来の成功報酬型では獲得額の10〜16%が報酬となり、財産分与500万円なら50万〜80万円の報酬が発生しますが、定額制なら獲得額に関わらず費用が固定されます。養育費や慰謝料が高額になる場合、定額制の方が20万〜40万円お得になることもあります。

契約前に「追加費用が発生する条件」「実費の範囲」「日当の有無」を書面で確認し、費用上限を明確にしておきましょう。料金表や契約書をホームページで公開している事務所は透明性が高く、トラブルのリスクが低いといえます。

費用が払えない場合の支援制度

離婚裁判の費用が準備できない場合でも、複数の支援制度を活用することで裁判を進められます。経済状況に応じて適切な制度を選択することが重要です。

法テラスの民事扶助制度

法テラスの民事扶助制度は、収入や資産が一定基準以下の方を対象に弁護士費用を立て替える制度です。単身者の場合は月収18万2000円以下、2人家族では25万1000円以下が収入基準となります。資産基準は単身者で180万円以下、2人家族で250万円以下です。

立替金は3年以内の分割返済が可能で、月額5000円から1万円程度の返済額となります。着手金20万円から50万円程度を法テラスが直接弁護士に支払い、依頼者は後日分割で返済します。

申請には住民票、収入証明書、資産証明書などの書類が必要です。審査期間は約2週間から1か月程度かかります。勝訴の見込みがあることと、報復目的でないことが利用条件となります。

訴訟救助制度の活用

訴訟救助制度は、裁判所が訴訟費用の支払いを一時的に猶予する制度です。収入印紙代13,000円や郵便切手代6,000円などの裁判所費用を、判決確定後まで支払いを待ってもらえます。

申立書に生活状況報告書と収入証明書を添付して裁判所に提出します。生活に著しい支障が生じると認められれば、裁判官が救助決定を下します。決定までの期間は約1週間から2週間程度です。

救助が認められても、最終的には訴訟費用を支払う義務は残ります。勝訴した場合は相手方に請求でき、敗訴した場合は自己負担となります。弁護士費用は対象外のため、別途資金調達が必要です。

分割払いなどの支払い方法

多くの法律事務所では、着手金や成功報酬の分割払いに対応しています。着手金30万円を6回払いで月5万円ずつ支払うなど、経済状況に応じた支払い計画を相談できます。クレジットカード決済に対応する事務所も増えており、カード会社の分割払いやリボ払いを活用できます。

完全成功報酬制を採用する事務所では、着手金0円で依頼を受け、離婚成立後に報酬を支払う形式をとります。獲得した財産分与や慰謝料から報酬を支払えるため、初期費用の負担を軽減できます。

契約前に支払い条件を明確にし、追加費用が発生する場合の取り決めも確認することが大切です。

弁護士なしで裁判を進める場合のリスク

弁護士なしで離婚裁判を進めると費用は約2万〜3万円で済みます。収入印紙代13,000円、郵便切手代5,000〜6,000円、戸籍謄本450円が主な費用です。財産分与や養育費請求を追加する場合は1件あたり1,200円が加算されます。

法律知識不足により不利な立場に立たされるリスクがあります。相手側が弁護士を雇っている場合、法的論点の理解不足で敗訴する可能性が高まります。民法770条の法定離婚事由を適切に主張できず、証拠準備の不備で主張が認められないケースが発生します。

リスク要因具体的な問題発生確率
証拠準備の不備必要書類の不足、証拠の提出期限超過約70%
法的主張の誤り離婚事由の説明不足、請求内容の不適切約60%
手続きミス書面作成の誤り、期日管理の失敗約50%

まとめ

裁判離婚の費用は一見高額に感じられるかもしれませんが、あなたの人生の新たなスタートへの投資と考えることができます。法テラスの民事扶助制度や分割払いなど、経済的負担を軽減する選択肢も複数存在します。

重要なのは、あなたの状況に最適な方法を選択することです。早期の弁護士相談により調停での解決が可能になれば、費用と時間の両方を大幅に節約できるでしょう。

最終的にかかる費用はケースごとに異なりますが、事前の準備と適切な専門家選びによって、あなたにとって最良の結果を得ることができます。費用面での不安があっても、まずは無料相談を活用して、あなたの選択肢を確認することから始めてみてください。

藤上 礼子のイメージ
ブログ編集者
藤上 礼子
藤上礼子弁護士は、2016年より当事務所で離婚問題に特化した法律サービスを提供しています。約9年にわたる豊富な経験を活かし、依頼者一人ひとりの状況に真摯に向き合い、最適な解決策を導き出すことを信条としています。ブログ編集者としても、法律知識をわかりやすくお伝えし、離婚に悩む方々の不安を少しでも和らげたいと活動中です。
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