離婚したらもらえるお金とは?条件別の相場と受け取りのポイント

離婚という人生の大きな転換期を迎えたとき、経済的な不安を感じるのは当然のことです。特に専業主婦(主夫)や収入が少ない側にとって、離婚後の生活をどう維持していくかは切実な問題でしょう。しかし、離婚時には法律で定められた金銭的な権利や、国・自治体からの経済支援があることをご存じでしょうか。

離婚した際にもらえるお金は、大きく分けて「配偶者からもらえるお金」と「国や自治体からの手当・支援」の二つに分類されます。前者には財産分与・慰謝料・養育費・年金分割・婚姻費用などがあり、後者には児童扶養手当や各種減免制度、医療費助成など多岐にわたる支援が存在します。

本記事では、離婚時に受け取ることができる金銭について、制度の内容や対象者、手続きの方法まで詳しく解説します。あなたが離婚を考えている、もしくはすでに離婚協議中であるなら、自分が受け取れる権利を正しく理解し、適切に請求することが新しい生活を安定させる第一歩となります。

離婚時に配偶者からもらえるお金

離婚をする際、配偶者から受け取ることができるお金には法的に定められたいくつかの項目があります。これらは婚姻期間中に形成された財産や、離婚原因、子どもの有無などによって内容が変わります。ここでは主要な5つの項目について詳しく見ていきましょう。

1. 財産分与

財産分与とは、夫婦が婚姻期間中に協力して築いた財産を離婚時に公平に分けるための制度です。これは離婚理由や有責性とは関係なく、夫婦が共同生活で形成した財産を清算するという考え方に基づいています。

財産分与の対象となるのは、婚姻期間中に得た不動産(家・マンション)、預貯金、有価証券、退職金、養老保険などの資産、そして住宅ローンなどの負債も含まれます。婚姻前から各自が持っていた財産や相続・贈与で得た財産は対象外となります。

分割の割合は原則として2分の1ずつとなることが一般的です。専業主婦(主夫)であっても、家事や育児で家庭を支えた貢献が認められるため、収入がなかったとしても平等に分与を受ける権利があります。ただし、一方が特別な才能や能力で財産を形成した場合(医師、経営者など)は、割合が変わることもあります。

財産分与の請求は離婚成立後2年以内に行う必要があります。この期限を過ぎると請求権が消滅してしまうため、注意が必要です。離婚協議の段階で明確にしておくことをお勧めします。

2. 慰謝料

慰謝料は、離婚によって受けた精神的苦痛に対する損害賠償金です。ただし、すべての離婚で慰謝料が発生するわけではありません。慰謝料が認められるのは、相手に離婚の原因となる有責行為があった場合に限られます。

主な有責事由としては、不貞行為(浮気・不倫)、DV(家庭内暴力)、悪意の遺棄(生活費を渡さない、正当な理由なく同居を拒否するなど)、モラルハラスメント、過度な借金やギャンブルなどが挙げられます。単なる性格の不一致価値観の違いでは、原則として慰謝料請求は難しいでしょう。

慰謝料の金額は、有責行為の内容や程度、婚姻期間の長さ、子どもの有無、精神的苦痛の度合いなどを総合的に考慮して決定されます。一般的には50万円から300万円程度の範囲となることが多いですが、悪質なケースでは500万円以上となることもあります。

慰謝料請求には消滅時効があり、離婚成立から3年以内に請求する必要があります。証拠の確保(メール、写真、録音、診断書など)が重要になるため、早めに弁護士に相談することを検討してください。

3. 養育費

養育費は、離婚後に子どもと同居しない親(非監護親)から、子どもを養育する親(監護親)へ支払われるお金です。これは子どもの生活費、教育費、医療費などを賄うために支払われるもので、子どもの権利として位置づけられています。

養育費の金額は、両親の収入、子どもの人数と年齢などを考慮して決定されます。家庭裁判所が公表している「養育費算定表」を基準とすることが一般的で、例えば、年収400万円の非監護親が年収100万円の監護親に対して、14歳以下の子ども1人を養育するケースでは、月額4~6万円程度となります。

養育費の支払い期間は、原則として子どもが成人するまで(20歳まで、または18歳まで)とされますが、大学進学を前提として22歳までと定めることも可能です。支払い方法は月払いが一般的ですが、一括払いや賞与時の増額など柔軟に取り決めることができます。

残念ながら日本では養育費の不払いが社会問題となっています。確実に受け取るためには、公正証書で取り決めを残し、強制執行認諾文言を付けておくことが重要です。また、2020年からは養育費の未払いに対する強制執行手続きが強化されており、給与や預金口座の差し押さえもしやすくなっています。

4. 年金分割

年金分割とは、婚姻期間中の厚生年金記録(標準報酬月額・標準賞与額)を夫婦間で分割する制度です。この制度により、専業主婦(主夫)や収入が少なかった配偶者も、将来受け取る年金額を増やすことができます。

年金分割には「合意分割」と「3号分割」の2種類があります。合意分割は、2007年4月以降の婚姻期間を対象とし、夫婦の合意または裁判所の決定により分割割合(最大50%)を定めます。3号分割は、2008年4月以降の第3号被保険者(専業主婦・主夫など)期間について、合意不要で自動的に50%ずつ分割されます。

注意すべき点は、年金分割は厚生年金(または共済年金)が対象であり、国民年金(基礎年金)部分や国民年金のみに加入していた期間は対象外ということです。また、分割されるのは「年金記録」であって、年金そのものではありません。実際に年金として受け取れるのは、自分が年金受給年齢に達してからです。

年金分割の請求期限は、原則として離婚成立後2年以内です。手続きは年金事務所で行い、離婚を証明する戸籍謄本や年金分割のための情報通知書などが必要になります。長期間専業主婦(主夫)だった方にとっては老後の生活に大きく影響する制度なので、必ず請求しましょう。

5. 婚姻費用

婚姻費用とは、夫婦が婚姻関係にある間、お互いに生活費を分担し合う義務に基づいて支払われるお金です。正式に離婚が成立するまでの別居期間中であっても、収入の多い方が少ない方に対して生活費を支払う義務があります。

婚姻費用には、日常の生活費(食費・光熱費・家賃など)、子どもの養育費、教育費、医療費などが含まれます。金額は夫婦それぞれの収入、子どもの人数と年齢などを考慮して決定され、養育費と同様に「婚姻費用算定表」を基準とすることが一般的です。

婚姻費用が特に重要になるのは、離婚協議が長引いている場合や、相手が離婚に応じずに別居が長期化している場合です。この期間の生活を維持するために、婚姻費用の請求は法的に認められた権利です。

請求方法としては、まず当事者間での話し合いを行い、合意できない場合は家庭裁判所に婚姻費用分担請求の調停を申し立てることができます。調停が成立すれば、過去にさかのぼって請求できるのは原則として調停申立て時からとなるため、別居を開始したらできるだけ早く請求手続きを始めることが重要です。

離婚後に国や自治体からもらえるお金

離婚後のひとり親家庭を経済的に支援するため、国や自治体はさまざまな手当や給付金を用意しています。これらは要件を満たせば受給できる公的支援ですので、該当する可能性がある方は必ず申請しましょう。

1. 児童扶養手当

児童扶養手当は、ひとり親家庭(母子家庭・父子家庭)の生活の安定と自立を支援するための制度です。18歳に達する日以後の最初の3月31日までの児童(障害がある場合は20歳未満)を養育している方が対象となります。

支給額は所得に応じて決定され、2023年4月現在の金額は、子ども1人の場合で全部支給が月額44,140円、一部支給が10,410円から44,130円です。子どもが2人の場合は10,420円、3人目以降は1人につき6,250円が加算されます。

所得制限があり、受給者本人の所得が一定額を超えると支給額が減額されたり、支給停止となったりします。例えば、扶養親族が1人の場合、全部支給の所得制限額は87万円、一部支給の制限額は230万円です(2023年度)。また、同居している扶養義務者(両親など)の所得も審査対象となります。

児童扶養手当は年6回(1月・3月・5月・7月・9月・11月)、2か月分ずつ支給されます。申請は市区町村の窓口で行い、毎年8月には現況届の提出が必要です。離婚が成立したら速やかに申請することで、申請月の翌月分から受給できます。

2. 児童手当

児童手当は、ひとり親家庭に限らず、中学校修了前(15歳に達する日以後の最初の3月31日まで)の児童を養育しているすべての世帯に支給される手当です。離婚後も引き続き受給できますが、受給者の変更手続きが必要になります。

支給額は児童の年齢によって異なり、3歳未満は月額15,000円、3歳以上小学校修了前は月額10,000円(第3子以降は15,000円)、中学生は月額10,000円です。ただし、所得制限限度額以上の場合は特例給付として月額5,000円(一律)となります。

所得制限は比較的緩やかで、例えば、扶養親族が2人の場合、所得制限限度額は年収約960万円程度です。支給は年3回(2月・6月・10月)、それぞれ前月までの4か月分がまとめて振り込まれます。

離婚後は、児童を養育する親(監護親)が受給者となります。離婚前に配偶者が受給者だった場合は、離婚後15日以内に受給者変更の手続きを行う必要があります。この手続きを怠ると受給できない期間が発生する可能性があるため、注意してください。

3. 特別児童扶養手当

特別児童扶養手当は、心身に障害のある20歳未満の児童を養育している父母などに支給される手当です。ひとり親家庭に限定されたものではありませんが、離婚後のひとり親家庭でも要件を満たせば受給できます。

対象となるのは、身体障害者手帳1級~3級程度、または療育手帳A・B程度の障害がある児童を養育している方です。ただし、児童が施設に入所している場合や、障害を理由とする年金を受給している場合は対象外となります。

支給額は障害の程度によって2段階に分かれており、2023年4月現在、1級(重度障害)は月額53,700円、2級(中度障害)は月額35,760円です。年3回(4月・8月・12月)、それぞれ前月までの4か月分が支給されます。

所得制限があり、受給者本人だけでなく同居している扶養義務者の所得も審査対象となります。申請は市区町村の窓口で行い、診断書または身体障害者手帳・療育手帳などが必要です。毎年8月には所得状況届の提出が必要になります。

4. 障害児福祉手当

障害児福祉手当は、重度の障害があるため日常生活において常時介護を必要とする状態にある20歳未満の在宅児童に支給される手当です。特別児童扶養手当よりもさらに重度の障害がある児童が対象となります。

対象となる障害の程度は、身体障害者手帳1級または2級の一部に該当する程度、または同等の疾病・精神障害がある児童です。具体的には、両眼の視力の和が0.02以下、両耳の聴力レベルが100デシベル以上、両上肢・両下肢の機能に著しい障害があるなど、日常生活動作が著しく制限される状態が基準となります。

2023年4月現在の支給額は月額15,220円で、年4回(2月・5月・8月・11月)、それぞれ前月までの3か月分が支給されます。所得制限があり、受給者本人、配偶者、扶養義務者の所得が一定額を超えると支給停止となります。

申請は市区町村の窓口で行い、診断書(所定の様式)が必要です。児童が施設に入所している場合や、障害を理由とする年金を受給している場合は支給されません。なお、特別児童扶養手当と併給することが可能です。

5. 生活保護

生活保護は、世帯の収入が最低生活費を下回り、生活に困窮している方に対して、国が健康で文化的な最低限度の生活を保障する制度です。離婚後に経済的に困窮した場合、最後のセーフティネットとして利用できます。

生活保護は世帯単位で認定され、世帯全員の収入と資産を調査した上で、最低生活費に満たない部分が支給されます。最低生活費は、世帯の人数や年齢、居住地域(級地)によって異なります。例えば、東京23区(1級地-1)で母親(30歳)と子ども(4歳)の2人世帯の場合、月額約19万円程度が基準となります。

生活保護を受けるためには、利用できる資産や能力、その他あらゆるものを活用することが前提条件です。具体的には、預貯金や生活に必要のない資産(土地・家・車など)を処分する、働ける場合は能力に応じて働く、年金や児童扶養手当など他の制度を優先して利用する、親族からの援助が可能な場合は援助を受けるなどが求められます。

生活保護には、生活扶助(日常生活費)、住宅扶助(家賃)、教育扶助(義務教育費)、医療扶助(医療費)、介護扶助(介護費)などの種類があり、必要に応じて支給されます。申請は福祉事務所で行い、申請後に家庭訪問や資産調査などが実施されます。

手当以外のひとり親世帯への支援制度

現金給付以外にも、ひとり親世帯を支援するさまざまな制度があります。これらを組み合わせて活用することで、経済的負担を大きく軽減できる可能性があります。

1. ひとり親控除と税金の減免

ひとり親控除は、2020年度から創設された税制上の控除制度です。婚姻歴や性別にかかわらず、生計を一にする子ども(総所得金額等が48万円以下)がいるひとり親で、合計所得金額が500万円以下の方が対象となります。

ひとり親控除を適用すると、所得税から35万円、住民税から30万円が控除されます。これにより課税所得が減り、結果として納める税金が少なくなります。例えば、年収300万円のひとり親の場合、所得税と住民税を合わせて年間約6~7万円程度の減税効果が見込めます。

控除を受けるためには、会社員の場合は年末調整で「給与所得者の扶養控除等申告書」に必要事項を記入します。自営業者や年末調整で申告できなかった方は、確定申告で申請します。

また、自治体によっては住民税の非課税や減免、国民健康保険料・国民年金保険料の減免制度もあります。児童扶養手当を受給している世帯は国民年金保険料の全額免除または一部免除を申請できるため、年金事務所または市区町村の国民年金担当窓口で相談してみましょう。

2. 母子父子寡婦福祉資金貸付金制度

母子父子寡婦福祉資金貸付金制度は、ひとり親家庭や寡婦の方が経済的に自立し、安定した生活を送れるよう支援するための貸付制度です。都道府県・指定都市・中核市が実施しており、無利子または低利子で資金を借りることができます。

貸付の種類は多岐にわたり、生活資金(技能習得期間中・医療介護期間中など)、就学支度資金(入学金など)、修学資金(授業料など)、技能習得資金(資格取得など)、修業資金(子どもの資格取得など)、就職支度資金、医療介護資金、住宅資金、転宅資金、結婚資金、事業開始資金、事業継続資金の12種類があります。

例えば、修学資金の場合、高校生は月額最大52,500円、大学生は月額最大146,000円(私立の場合)を無利子で借りることができます。就学支度資金は、私立高校で410,000円、私立大学で590,000円まで貸付可能です。

貸付を受けるには審査があり、返済能力や他の債務状況などが確認されます。連帯保証人が必要な場合もありますが、条件によっては不要なケースもあります。返済期間は資金の種類によって異なり、据置期間(返済が始まるまでの猶予期間)も設けられています。申請窓口は、市区町村の福祉担当課または都道府県の福祉事務所です。

3. 医療費助成制度

ひとり親家庭等医療費助成制度(マル親医療費助成)は、ひとり親家庭の親と子どもが医療機関を受診した際の医療費の自己負担分を助成する制度です。自治体によって「ひとり親家庭等医療費助成」「親子医療費助成」など名称は異なりますが、多くの自治体で実施されています。

対象となるのは、18歳に達する日以後の最初の3月31日までの児童を養育しているひとり親家庭の親と子どもです。児童扶養手当と同様の所得制限が設けられている自治体が多く、所得が一定額を超えると助成を受けられない場合があります。

助成内容は自治体によって異なりますが、一般的には保険診療の自己負担分(通常3割)から一部負担金を差し引いた額が助成されます。例えば、東京都では住民税課税世帯は1割の自己負担、非課税世帯は自己負担なしといった形です。入院時の食事療養費や差額ベッド代など保険適用外のものは対象外となります。

申請は市区町村の窓口で行い、児童扶養手当証書または戸籍謄本、健康保険証、所得証明書などが必要です。申請が承認されると医療証(受給者証)が交付され、医療機関の窓口で健康保険証と一緒に提示することで助成が受けられます。毎年所得状況の届出が必要な自治体もあります。

4. 住宅手当と公営住宅

ひとり親家庭の住居に関する支援として、住宅手当の支給や公営住宅への優先入居制度があります。住まいの確保は生活の基盤となるため、これらの制度を活用することで経済的負担を軽減できます。

住宅手当(ひとり親世帯住宅手当)は、一部の自治体が独自に実施している制度で、ひとり親家庭の家賃負担を軽減するために一定額を助成するものです。

実施していない自治体も多いため、お住まいの市区町村に確認する必要があります。実施している自治体では、月額5,000円~10,000円程度の助成が一般的です。児童扶養手当受給者で、賃貸住宅に住んでいることなどが条件となります。

公営住宅(都道府県営住宅・市区町村営住宅)は、低所得者向けの低廉な家賃で提供される住宅です。ひとり親家庭は一般世帯よりも優先的に入居できる制度があり、抽選倍率が優遇されたり、専用の募集枠が設けられたりしています。

公営住宅の家賃は収入に応じて決定され、一般の民間賃貸住宅よりも大幅に安い場合が多いです。入居には所得制限があり、月収が一定額以下(一般世帯は158,000円以下、裁量世帯は214,000円以下など)であることが条件となります。ひとり親家庭は裁量世帯として扱われ、所得基準が緩和されています。

申請は都道府県または市区町村の住宅担当課で行い、定期的に募集が行われます。人気のある物件は競争率が高いため、根気よく申し込み続けることが必要な場合もあります。

離婚後にもらえるお金を受け取るための手続き

離婚後にもらえるお金や支援を確実に受け取るためには、適切な手続きと必要書類の準備が不可欠です。制度ごとに申請窓口や期限が異なるため、計画的に進めることが重要です。

まず、離婚前の準備段階で重要なのが、財産分与や慰謝料、養育費についての取り決めを文書化することです。口約束だけでは後でトラブルになる可能性が高いため、離婚協議書を作成しましょう。

さらに確実性を高めるには、公証役場で公正証書を作成することをお勧めします。公正証書には強制執行認諾文言を付けることで、相手が支払いを怠った場合に裁判を経ずに給与や財産の差し押さえができます。

離婚調停や裁判で離婚した場合は、調停調書や判決書が重要な証明書類となります。これらには財産分与や養育費の取り決めが記載されており、強制力を持ちます。必ず原本を大切に保管し、必要に応じてコピーを取っておきましょう。

離婚が成立したら、速やかに市区町村役場で離婚届を提出します。この際、戸籍謄本を複数枚取得しておくと、その後の各種手続きがスムーズです。離婚届の提出後、通常1~2週間程度で戸籍に離婚の事実が記載されます。

年金分割の手続きは、離婚成立後2年以内に年金事務所で行います。必要書類は、年金手帳、離婚を証明する戸籍謄本、年金分割のための情報通知書、年金分割の合意内容を明らかにできる書類(公正証書、調停調書など)です。手続きには時間がかかる場合もあるため、早めに年金事務所に相談することをお勧めします。

児童扶養手当の申請は、市区町村の福祉課または子育て支援課で行います。必要書類は、申請書(窓口で入手)、戸籍謄本または抄本(離婚の記載があるもの)、申請者と児童の住民票の写し、所得証明書、申請者名義の預金通帳、年金手帳、健康保険証、印鑑などです。

申請から支給開始まで通常1~2か月程度かかります。申請月の翌月分から支給されるため、離婚成立後は速やかに申請しましょう。

児童手当の受給者変更手続きも、離婚後15日以内に市区町村の窓口で行います。必要書類は、児童手当認定請求書、申請者の健康保険証のコピー、申請者名義の預金通帳、マイナンバーがわかるものなどです。手続きが遅れると受給できない期間が発生する可能性があるため、注意してください。

特別児童扶養手当や障害児福祉手当の申請には、医師の診断書(所定の様式)が必要です。診断書の作成には時間がかかる場合があるため、早めに主治医に依頼しましょう。

ひとり親家庭等医療費助成制度の申請も、市区町村の窓口で行います。必要書類は、申請書、戸籍謄本、健康保険証、所得証明書、児童扶養手当証書(受給している場合)などです。

母子父子寡婦福祉資金の貸付を希望する場合は、市区町村の福祉課または都道府県の福祉事務所に相談します。

資金の種類によって必要書類が異なりますが、一般的には貸付申請書、戸籍謄本、所得証明書、住民票、印鑑証明書、資金使途を証明する書類(合格通知書、見積書など)などが必要です。審査には時間がかかるため、資金が必要になる時期を見越して早めに相談しましょう。

各種手当や支援制度には所得制限があるため、前年(または前々年)の所得証明書が必要になることが多いです。所得証明書は市区町村の税務課で発行されますが、1月1日時点で住民票があった市区町村で取得する必要があるため、転居した場合は注意してください。

また、多くの制度では毎年「現況届」や「所得状況届」の提出が義務付けられています。これらの届出を忘れると手当が停止される可能性があるため、期限内に必ず提出しましょう。通常、8月頃に提出が必要な制度が多いです。

手続きは複雑で、必要書類も多岐にわたります。不明な点があれば、市区町村の窓口や福祉事務所、年金事務所などに遠慮なく相談してください。また、弁護士や行政書士、ファイナンシャルプランナーなどの専門家に相談することで、受け取れる可能性のある支援を漏れなく把握し、適切な手続きを進めることができます。

まとめ

離婚した際にもらえるお金は、配偶者から受け取る財産分与・慰謝料・養育費・年金分割・婚姻費用と、国や自治体から受け取る児童扶養手当・児童手当・各種支援制度の大きく二つに分けられます。これらは法律で認められたあなたの正当な権利であり、遠慮する必要はありません。

特に財産分与と年金分割には2年という請求期限があるため、離婚成立後は速やかに手続きを進めることが重要です。また、児童扶養手当などの各種手当は申請月の翌月分からの支給となるケースが多いため、早めの申請が経済的安定につながります。

離婚後の生活を安定させるためには、これらの制度を正しく理解し、適切に活用することが不可欠です。手続きは複雑に感じるかもしれませんが、市区町村の窓口や専門家のサポートを受けながら、一つずつ確実に進めていきましょう。あなたと子どもの新しい生活のために、受け取るべきお金をしっかりと確保してください。

藤上 礼子のイメージ
ブログ編集者
藤上 礼子
藤上礼子弁護士は、2016年より当事務所で離婚問題に特化した法律サービスを提供しています。約9年にわたる豊富な経験を活かし、依頼者一人ひとりの状況に真摯に向き合い、最適な解決策を導き出すことを信条としています。ブログ編集者としても、法律知識をわかりやすくお伝えし、離婚に悩む方々の不安を少しでも和らげたいと活動中です。
離婚問題に関するコラム記事

BLOG

PAGE TOP