共同親権ってなに?いつから始まるの?導入の背景と子どもへの影響

あなたが今まさに離婚を考えているとして、ふと子どものことが頭をよぎった瞬間、手が止まりませんか。親権のこと、面会のこと、これからどうやって子どもと関わっていけるのか。この不安は、一人で抱えていても答えは出ません。

日本の離婚制度は、長い間「単独親権」を前提としてきました。離婚後、どちらか一方の親だけが親権を持ち、もう一方は子どもとの距離が遠くなっていく。そんな状況に疑問を持つ声が、近年増えています。そして2024年5月、これまでの常識を変える法改正が成立しました。離婚後も両親がともに親権を持つ「共同親権」が、日本でも可能となったのです。

この記事では、共同親権がいつから始まり、どのような内容で、あなたの生活にどう影響するのかを具体的に説明します。既に離婚している方、これから離婚を考えている方、いずれにとっても重要な情報です。あなた自身の選択と子どもの未来に直結する内容ですので、最後まで読んでください。

共同親権とは?基本的な仕組みを理解する

あなたが離婚を決意したとき、最初にぶつかるのは子どもの親権についての問題です。誰が親権を持つのか、その選択が今後の生活を大きく左右します。

共同親権とは、父母が共に未成年の子の親権を持つ制度です。これは婚姻中であれば当然に認められていたものですが、離婚後は原則として一方の親だけが親権を持つ「単独親権」が続いてきました。2024年5月の民法改正により、離婚後も共同親権を選べるようになったのです。

親権は、子どもが成人するまでの重要な決定をする権利と義務を含みます。学校の選択、医療行為への同意、住む場所の決定など、子どもの生活全般に関わる事柄を扱います。この権利は単なる権限ではなく、子どもの利益を最優先にした責任です。

親権の内容

親権は大きく二つの要素で構成されています。一つは「身上監護権」、もう一つは「財産管理権」です。

  • 身上監護権とは、子どもの日常生活に関わる権利と義務のことです。具体的には、子どもの生活の世話、教育、しつけ、住む場所の指定、職業の許可などが含まれます。あなたが子どもの学校を決めたり、習い事を選んだり、病院に連れて行ったりする行為は、すべてこの身上監護権に基づいています。
  • 財産管理権は、子どもが所有する財産を管理し、子どもに代わって法律行為をする権利と義務です。例えば、子どもが祖父母から相続した不動産を管理したり、子ども名義の銀行口座を管理したり、子どもが契約を結ぶときに同意したりすることです。未成年の子どもは法律行為を単独で行えないため、親がこの役割を担います。

これらの権利は、子どもの利益を守るために存在します。あなたが親権を持つということは、子どものために最善の判断をする責任を負うということです。

共同親権と単独親権の違い

単独親権は、離婚後にどちらか一方の親だけが親権を持つ制度です。日本では明治時代から戦後まで父親が優先される時代が続き、その後は母親が親権を持つケースが大半を占めてきました。現在でも離婚後は約9割が母親が親権を持っています。

  • 単独親権では、親権を持たない親は子どもとの関係が法的に制限されます。面会交流は認められていますが、日常的な決定に関与できません。学校行事への参加、進学先の選択、医療行為への同意など、すべて親権を持つ親が決定します。親権を持たない親は、子どもの成長に関わる重要な場面から排除されることが多くなります。
  • 共同親権では、両親がともに親権を持ち、子どもに関する重要な決定を共同で行います。あなたと元配偶者が協議して、子どもの進学先や医療、住む場所などを決めるのです。日常的な事柄は子どもと同居している親が単独で決められますが、重要な事項については両親の合意が必要です。

この違いは、子どもの視点から見ると大きな意味を持ちます。単独親権では、一方の親との関係が希薄になりがちです。共同親権では、離婚後も両親が子育てに関わり続けることができます。ただし、両親間の協力が前提となるため、関係が悪化している場合は調整が難しくなります。

あなたがどちらを選ぶかは、子どもにとって何が最善かを考える必要があります。元配偶者と協力して子育てができる関係なら共同親権が有効ですが、DVやモラハラがあった場合は単独親権を選ぶべきです。

共同親権はいつから始まるのか?施行時期と法改正の経緯

あなたが今、離婚の手続きを進めているとしたら、この法改正がいつ実際に適用されるのかは切実な問題です。2024年5月に成立したこの改正民法は、まだ施行されていません。施行日は法務省が政令で定めることになっており、具体的な日付は今後発表されます。

法改正の最新状況

共同親権を可能にする民法改正は、2024年4月16日に衆議院で可決され、5月17日に参議院で可決・成立しました。この改正は、離婚後の親子関係に関する日本の法律を大きく変えるものです。

法案の審議過程では、賛成と反対の両方の意見が出されました。子どもが両親と関係を保つことを重視する立場からは賛成が、DV被害者支援の観点からは懸念が表明されました。国会での議論は長時間に及び、最終的には修正を加えた上で可決されました。

成立した改正民法では、離婚後の親権について父母が協議して決めることを原則とし、協議が調わない場合や協議ができない場合は家庭裁判所が決定します。裁判所は、子どもの利益を最優先に考慮して判断します。

また、DVやモラハラがあった場合には単独親権とすることが明記されました。子どもや配偶者への暴力、虐待、重大な侮辱などがあった場合、共同親権は認められません。この点は、法案審議の過程で強く求められた修正です。

施行までのスケジュール

法律が成立してから実際に施行されるまでには、準備期間が必要です。改正民法の施行時期は、政令で定められることになっていますが、一般的に1年から2年以内の施行が想定されています。

あなたが今すぐ離婚手続きを始めた場合、施行日前であれば現行法が適用されます。つまり、単独親権のみが選択肢です。施行日以降に離婚する場合は、共同親権を選ぶことができます。

施行日までに、法務省は具体的な運用ガイドラインを作成し、家庭裁判所の体制を整備し、弁護士や調停委員への研修を実施します。この準備には時間がかかるため、施行日は慎重に設定されます。

もしあなたが施行日前に離婚を成立させた場合でも、後から共同親権に変更することは可能です。親権者変更調停を申し立てることで、共同親権への移行を検討できます。この点については、後の章で詳しく説明します。

施行日が近づいたら、法務省のウェブサイトや報道で確認してください。あなたの離婚手続きのタイミングと施行日の関係によって、選べる選択肢が変わります。離婚を急ぐ必要があるのか、それとも施行を待つべきなのか、弁護士に相談して判断することをお勧めします。

離婚後の共同親権が導入される背景と理由

なぜ今、日本で共同親権が導入されるのか。この問いは、あなた自身の離婚と子どもの未来を考える上で欠かせません。

日本は1994年に国連「子どもの権利条約」を批准しました。この条約は、子どもが両親と関係を保つ権利を認めています。離婚後も子どもが両親と接触を維持することは、子どもの権利として尊重されるべきだという国際的な考え方です。

日本の単独親権制度は、この条約の趣旨に反するのではないかという指摘が、国内外から長年されてきました。欧米諸国の多くは離婚後も共同親権を認めており、日本の制度は国際的に見ると特殊です。国際結婚が破綻したケースでは、日本人の親が子どもを日本に連れ帰り、外国人の親が子どもと会えなくなる事例が問題視されてきました。

あなたが国際結婚をしていなくても、この問題は無関係ではありません。日本国内の離婚でも、親権を持たない親が子どもと会えなくなるケースは多く存在します。面会交流が定められていても、実際には月に1回程度、数時間しか会えないことが一般的です。子どもの成長を見守り、日常的に関わることは、親権を持たない親には難しいのが現実です。

離婚後も両親が子育てに関わることは、子どもの心理的な安定にもつながります。研究では、離婚後も両親と良好な関係を保っている子どもは、学業成績や社会適応において良い結果を示すことが報告されています。一方の親だけが子育てを担う負担も軽減されます。

ただし、すべてのケースで共同親権が子どもにとって良いわけではありません。両親の対立が激しい場合、共同親権は子どもを板挟みにする可能性があります。DVやモラハラがあった場合は、被害者と子どもの安全が最優先です。

法改正の背景には、こうした複数の要因があります。国際的な圧力、子どもの権利への配慮、親権を持てなかった親たちの声、そして離婚後も両親が協力して子育てをする方が望ましいという認識の広がりです。

あなたがこれから離婚を考えるとき、単独親権か共同親権かという選択は、子どもにとって何が最善かという視点で判断する必要があります。法律が変わったからといって、すべての人が共同親権を選ぶべきだというわけではありません。あなたと元配偶者の関係、子どもの年齢や意見、これまでの子育ての関わり方などを総合的に考慮して決めてください。

共同親権のメリット

共同親権があなたと子どもにもたらす利点は、単に法的な権利の問題だけではありません。実際の生活の中で、どのような変化が起きるのかを理解してください。

1. 親権争いの緩和

あなたが離婚を考えたとき、最も辛いのは子どもの親権をめぐる争いです。単独親権の制度では、どちらか一方しか親権を持てないため、離婚調停や裁判が激化しやすくなります。親権を失うことは、子どもとの関係を失うことを意味すると感じる親は多いのです。

共同親権が選択肢として存在することで、この争いは緩和されます。両親ともに親権を持てるなら、親権の取り合いをする必要がなくなります。協議がスムーズに進めば、子どもへの心理的な負担も減ります。

ただし、これは両親が協力できる関係にある場合です。対立が激しいケースでは、共同親権にするかどうか自体が新たな争点になる可能性もあります。それでも、選択肢が増えることで、柔軟な解決策を見つけやすくなるのは確かです。

2. 養育費の支払いと面会交流の促進

親権を持たない親が養育費を支払わなくなる問題は、日本の離婚後の大きな課題です。厚生労働省の調査では、養育費を受け取っている母子家庭は約3割程度に過ぎません。養育費を支払わない理由の一つに、子どもと会えないことへの不満があります。

あなたが親権を持つ側だとして、元配偶者が養育費を払わなくなったら、経済的に困窮します。子どもの教育費や生活費は、一人で負担するには重すぎます。

共同親権では、両親がともに親権を持つため、子どもとの関係が法的にも保障されます。子どもと定期的に会い、成長に関わることができるなら、養育費を支払う動機も高まります。実際、海外の研究では、共同親権のケースでは養育費の支払い率が高いことが報告されています。

面会交流についても同様です。単独親権では、親権を持つ親が面会交流を拒否すると、もう一方の親は子どもと会えなくなります。法律上は面会交流の権利がありますが、強制力は弱いのが現実です。共同親権では、両親がともに子育てに関わる前提があるため、面会交流も円滑に進みやすくなります。

3. 離婚後も両親が子育てに関われる

あなたが子どもと離れて暮らすことになったとき、子どもの成長を見守れないことは大きな喪失感をもたらします。学校行事に参加できない、進学先を一緒に決められない、病気のときにそばにいられない。こうした状況は、親にとっても子どもにとっても辛いものです。

共同親権では、離婚後も両親が子育てに関わり続けることができます。進学先の選択、習い事の決定、医療行為への同意など、重要な決定に両親が関与します。子どもは、両親がともに自分のことを考えてくれていると感じることができます。

同居していない親も、子どもの学校行事に参加したり、長期休暇に一緒に過ごしたり、日常的に連絡を取り合ったりすることが容易になります。子どもにとって、両親との関係を保つことは、アイデンティティの形成や心理的な安定に重要です。

ただし、共同親権を持つことと、実際に子育てに関わることは別です。法律上の権利があっても、距離が遠い、仕事が忙しいなどの理由で関わりが薄くなることもあります。共同親権を選ぶなら、具体的にどう子育てに関わるのか、事前に計画を立てておくべきです。

共同親権のデメリット

共同親権には利点がある一方で、深刻な問題を引き起こす可能性もあります。あなたがDVやモラハラを経験している場合、共同親権は危険です。

1. DVやモラハラが継続するリスク

あなたが配偶者からの暴力や精神的虐待を受けて離婚を決意した場合、離婚後も接触を続けることは恐怖です。共同親権では、子どもに関する重要な決定を共同で行う必要があるため、元配偶者と連絡を取り続けなければなりません。

DV加害者は、共同親権を利用して被害者を支配し続けることがあります。子どもの進学先や医療について協議するという名目で、頻繁に連絡を取ることを要求したり、同意を拒否して嫌がらせをしたり、面会交流の際に暴力を振るったりするケースが懸念されています。

2024年の法改正では、DVやモラハラがあった場合には共同親権を認めないという規定が盛り込まれました。子どもや配偶者への暴力、虐待、重大な侮辱などがあった場合、裁判所は単独親権を命じます。しかし、DVやモラハラを証明することは容易ではありません。

あなたが被害を受けていても、証拠がなければ裁判所に認めてもらえない可能性があります。診断書、警察への相談記録、メールやLINEのやり取り、第三者の証言など、できるだけ証拠を集めておく必要があります。配偶者暴力相談支援センターやDVシェルターに相談し、記録を残しておくことも重要です。

子どもへの虐待も同様です。身体的虐待だけでなく、心理的虐待やネグレクトも親権の判断において考慮されます。子どもの安全が最優先ですので、少しでも懸念がある場合は、専門家に相談してください。

2. 意思決定の難航と子どもへの負担

共同親権では、子どもに関する重要な決定を両親が共同で行います。これは、両親が協力できる関係にあれば有効ですが、対立している場合は問題です。

あなたと元配偶者が子どもの進学先について意見が対立したとします。あなたは公立高校を希望し、元配偶者は私立高校を希望している。共同親権では、両親の合意がなければ決定できません。協議がまとまらなければ、家庭裁判所に調停を申し立てる必要があります。

調停には時間がかかります。数か月から1年以上かかることもあります。その間、子どもは進学先が決まらず、不安を抱えます。受験のタイミングを逃したり、希望する学校に出願できなかったりすることもあります。

日常的な小さな決定でも、両親の意見が合わなければ子どもは板挟みになります。習い事をやめるかどうか、スマートフォンを持たせるかどうか、誕生日プレゼントは何にするかなど、些細なことでも対立が生じる可能性があります。子どもは、どちらの親の意見に従うべきか悩み、ストレスを感じます。

特に、両親が互いを批判し合っている場合、子どもは忠誠心の葛藤に苦しみます。一方の親を選ぶことは、もう一方の親を裏切ることだと感じるのです。こうした状況は、子どもの心理的な健康に悪影響を及ぼします。

共同親権を選ぶなら、両親が冷静に協議できる関係を保つことが不可欠です。それが難しい場合は、単独親権を選ぶか、調停や第三者の支援を活用する必要があります。子どものために、どちらが最善かを慎重に判断してください。

既に離婚している人への影響と対応方法

あなたが既に離婚しており、単独親権の状態にある場合、今回の法改正は関係ないと思うかもしれません。しかし、実は影響を受ける可能性があります。

改正民法の施行後、過去に離婚した人も共同親権に変更することが可能です。親権者変更の手続きを通じて、共同親権への移行を申し立てることができます。

親権者変更調停による共同親権への移行

親権者変更は、家庭裁判所に調停を申し立てて行います。あなたが親権を持っている場合、元配偶者から親権者変更の調停を申し立てられる可能性があります。逆に、あなたが親権を持っていない場合、共同親権への変更を申し立てることができます。

親権者変更の調停では、子どもの利益が最優先されます。現在の親権者が適切に子育てをしているか、変更することが子どもにとって本当に良いのか、家庭裁判所が慎重に判断します。調停委員や家庭裁判所調査官が関与し、双方の意見を聞き、子どもの意向も確認します。

あなたが親権を持っており、元配偶者から共同親権への変更を求められた場合、拒否することもできます。離婚時にDVやモラハラがあった、元配偶者が子育てに関心を示してこなかった、子どもが変更を望んでいないなど、合理的な理由があれば裁判所は変更を認めません。

逆に、あなたが親権を持っておらず、子どもとの関係を深めたいと考えている場合、共同親権への変更を申し立てることは有効な選択肢です。ただし、現在の親権者が同意しない場合、調停は難航します。あなたが離婚後も養育費を払い続けている、定期的に面会交流をしている、子どもとの関係が良好であるなど、共同親権が子どもの利益になることを示す必要があります。

親権者変更調停を申し立てる際は、弁護士に相談することを強くお勧めします。手続きは複雑で、主張の仕方によって結果が変わります。子どもの年齢が高い場合、子ども自身の意見が重視されますので、子どもの気持ちを尊重することも大切です。

既に離婚している人にとって、今回の法改正は新たな選択肢を提供するものです。しかし、無理に変更する必要はありません。現在の状況が子どもにとって安定しているなら、そのまま維持する方が良い場合もあります。変更を検討するなら、子どもの最善の利益を第一に考えてください。

共同親権を選択または取得するためのポイント

あなたがこれから離婚する、または既に離婚していて共同親権を検討している場合、具体的にどう進めればよいのかを知っておく必要があります。

まず、元配偶者と協議できる関係かどうかを冷静に評価してください。共同親権は、両親が協力して子育てをすることが前提です。感情的な対立が激しい場合、共同親権は機能しません。離婚の原因が何であれ、子どものためには親としての協力関係を築けるかどうかが鍵です。

具体的には、次のような点を確認してください。元配偶者と冷静に話し合いができるか。子どもの教育方針について意見が一致しているか。過去にDVやモラハラがなかったか。子どもが両親との関係を保つことを望んでいるか。これらの質問に「はい」と答えられるなら、共同親権は有効な選択肢です。

共同親権を選ぶ場合、具体的な取り決めを事前に決めておくことが重要です。例えば、子どもの日常的な世話は誰が行うのか、重要な決定はどのように協議するのか、面会交流の頻度と方法はどうするのか、養育費の金額と支払い方法はどうするのかなどです。

これらを口約束で済ませるのではなく、書面に残してください。離婚協議書や調停調書に明記することで、後のトラブルを防げます。特に、重要な決定について意見が合わない場合の解決方法を決めておくと良いです。第三者の調停を利用する、子どもの意見を優先するなど、具体的な手順を決めておけば、いざというときに対応しやすくなります。

子どもの年齢や意見も重要です。子どもがある程度の年齢に達している場合、子ども自身の意見を聞いてください。家庭裁判所も、子どもの年齢が高い場合は子どもの意向を重視します。一般的に、15歳以上の子どもの意見は尊重されますが、それより若い子どもの意見も考慮されます。

あなたが共同親権を希望しても、元配偶者が反対する場合は調停や裁判になります。家庭裁判所は、子どもの利益を最優先に判断します。あなたが共同親権を求める理由、これまでの子育ての関わり方、今後の子育ての計画などを具体的に示す必要があります。

弁護士に相談することは、このプロセスを円滑に進めるために有効です。離婚に詳しい弁護士なら、あなたの状況に応じた適切なアドバイスをしてくれます。法律扶助制度を利用すれば、費用の負担を軽減できる場合もあります。

共同親権を取得した後も、継続的な協力が必要です。子どもの成長に伴い、教育方針や生活環境についての決定は変わっていきます。その都度、元配偶者と協議し、子どもにとって最善の選択をしてください。協力が難しくなった場合は、再度調停を利用することもできます。

何よりも大切なのは、子どもの視点です。親の都合や感情ではなく、子どもが安心して成長できる環境を作ることが目標です。共同親権がその手段として適切なら選び、そうでないなら単独親権を選んでください。正しい選択は、あなたと子どもの状況によって異なります。

まとめ

共同親権は、2024年5月に成立した民法改正により、日本でも選択できるようになりました。施行時期は今後政令で定められますが、1年から2年以内の施行が見込まれています。あなたがこれから離婚する場合、または既に離婚していて親権の変更を検討している場合、この制度は重要な選択肢です。

共同親権の基本的な仕組みは、離婚後も両親がともに親権を持ち、子どもに関する重要な決定を共同で行うことです。身上監護権と財産管理権の両方を両親が持ち、子どもの利益を最優先に判断します。

メリットとしては、親権争いの緩和、養育費の支払いと面会交流の促進、離婚後も両親が子育てに関われることが挙げられます。一方で、DVやモラハラが継続するリスク、意思決定の難航と子どもへの負担といったデメリットもあります。

あなたが共同親権を選ぶべきかどうかは、元配偶者と協力できる関係にあるか、子どもにとって何が最善かという視点で判断してください。DVやモラハラがあった場合は、単独親権を選ぶべきです。既に離婚している場合でも、親権者変更調停を通じて共同親権に移行することは可能です。

子どもの未来はあなたの選択にかかっています。この記事で説明した内容を参考に、慎重に判断してください。必要なら弁護士や専門家に相談し、子どもにとって最善の選択をすることが、親としての責任です。

藤上 礼子のイメージ
ブログ編集者
藤上 礼子
藤上礼子弁護士は、2016年より当事務所で離婚問題に特化した法律サービスを提供しています。約9年にわたる豊富な経験を活かし、依頼者一人ひとりの状況に真摯に向き合い、最適な解決策を導き出すことを信条としています。ブログ編集者としても、法律知識をわかりやすくお伝えし、離婚に悩む方々の不安を少しでも和らげたいと活動中です。
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